皆さんは「英語の4技能」という言葉を聞いたことはありますか?
英語の4技能とは、読む、聞く、書く、話す、の4つのスキルのことを指します。
この言葉は主に教育関連で使われているのですが、実は言語体得の本質を突いています。
4技能を高めることで、実生活で使える英語を身に付けることができるからです。
例えば、日常生活を何とか切り抜けられればOKという方はスピーキングを中心に学習すれば良いと思います。
しかし、留学やビジネス、または将来のためにどんな場面でも通用する「本物の英語力」を身に付けたいと思っている方にとって、4技能をバランス良く鍛えることは、シンプルで分かりやすく、かつ確実です。
ということで、今回は英語の4技能の基礎知識と高め方について詳しく解説していきます。
- 4技能の基礎知識
- 英語力の全体象
- 4技能を測る試験と指標
- 本物の英語力を手に入れる方法
実生活で「使える」英語の身に付け方を知り、より密度の高い学習につなげましょう!
この記事の目次
英語の4技能とは|基礎知識と注目されている理由
英語の4技能とは、
読む(リーディング)
聞く(リスニング)
書く(ライティング)
話す(スピーキング)
の4つのスキルを意味します。
あれ?
単語と文法は入っていないんですね。
そうですね。
単語と文法は「知識」なので、4技能(スキル)には入らないんです。
ですが、単語と文法は4つのスキルを支える大切な土台の役割を担っているんですよ!
ちなみに、土台に含まれている「音」というのは、単語の発音であったり、フレーズや文章での音のつながりのことを意味します。
4技能とは、それぞれの分野で知識(単語・文法・音)を使うことを指しています。
なるほど。
ところで、どうしてこの英語の4技能が注目されているんですか?
良い質問です!
注目されている理由は次の2つです。
ひとつずつ解説していきますね。
グローバル化
これが英語の4技能が注目されている最大の理由です。
インターネットの世界的な普及を背景に、英語をコミュニケーションツールとして使う場面が急速に増えています。
実際に、4技能のうちリスニング力とリーディング力を測り、ビジネスで定番となっているTOEIC L&R Testの平均スコアは、年々高くなる傾向にあります。
単語や文法を「知っている」だけでなく、「使える」必要があるんですね。
「使える」というのは、4技能に照らし合わせてみると、次のようなイメージです。
確かに。
こうゆうことができないと、英語ってテスト以外に役に立たないですね。
そうなんです!
この「使える英語を身に付けよう」という流れは、学校の授業にも大きな変化を生み出したんですよ!
学習指導要領の改訂
2020年度から小学校~高校で新しい学習指導要領での授業がスタートしています。
これが「英語の4技能」を知るきっかけになる人も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
新しい指導要領では、学校で4技能5領域を学びます。
5領域というのは、4技能の「話す」を「コミュニケーション」と「プレゼンテーション」に分けたものです。
小学校~高校までの新学習指導要領については、ざっくりこのような変化がありました。
英語でプレゼン(発表)や討論!?
僕、全然自信無いですよ…。
今の学校ってすごいんですね。
本当にそうですね。
10年後の新入社員の英語力はすごいことになっていそうですね!
【コラム】大学入試で4技能は必要か
2020年度の大学入試共通テストの英語で、民間の英語検定の結果を使用することが検討されていました。
このとき導入が検討されていた民間の検定というのは、英検やGTECなど4技能全てが含まれるタイプの試験です。
結局、大学入試共通テストでの民間検定の導入は見送られましたが、4技能検定を活用する大学は、年々増える傾向にあります。
このことから、高校2年生の冬に4技能検定でCEFR(セファール)B1~B2の結果を出すことを目標に、計画的に学習していくことがオススメです。
英語の4技能を数値化する|指標と検定試験
英語の4技能がどのくらいあるのかを、検定試験で数値化することができます。
試験の種類は様々ですが、測定された数値の評価にはCEFR(セファール)という国際指標が用いられます。
ここでは、CEFRと4技能検定試験について詳しく解説していきますね。
4技能のレベルを表す指標|CEFR(セファール)
CEFR(セファール)は、
Common European Framework of Reference for Languages
(ヨーロッパ言語共通参照枠)
の略称で、言語能力(英語に限らず)を客観的に評価する国際指標です。
A1~C2の6段階でレベルを示しています。
習得段階 | CEFR | レベル |
---|---|---|
熟達段階 | C2 | ネイティブと遜色のない熟練者 |
C1 | 優れた言語運用能力を有する者・上級者 | |
自立段階 | B2 | 実務に対応できる者・準上級者 |
B1 | 習得しつつある者・中級者 | |
基礎段階 | A2 | 学習を継続中の者・初級者 |
A1 | 学習を始めたばかりの者・初学者 |
出典:関西国際大学
4技能検定試験は各検定独自のスコアがあり、それをCEFRに当てはめてレベルを評価します。
検定の種類とCEFRとの対応については、次で解説していきますね。
4技能検定試験|種類と特長
4技能を測ることができる主な検定試験の種類とCEFRとの対応は、次の通りです。
それぞれの検定試験の大まかな特徴を説明します。
検定試験名 | 概要 | 受験料 | 試験時間 |
---|---|---|---|
ケンブリッジ英語検定 | レベル分けが細かい(A1~C2) 実生活をふまえた問題が多く出題される 海外留学、海外移住申請に使える 全国5都市のテストセンターで実施 試験時間と受験料はレベルによって異なる | 9,900~ 25,850円 | 約4時間 |
実用英語技能検定 (英検/英検S-CBT) | 試験の定番 レベル分けが細かい(A1~C1) 実生活をふまえた問題が多く出題される 試験会場&日程が多い 試験時間と受験料は級によって異なる | 2,500~ 11,800円 | 45分~ 145分 |
GTEC CBT | 日本の英語教育を念頭において作成されたテスト 測定できるレベル幅が広い(A1~C1) 全国47都道府県で実施 CBT以外にも細かくレベル分けされた試験がある | 9,900円 | 150分 |
TEAP/TEAP CBT | 高校生向け 大学入試で使える 測定できるレベル幅が広い(A1~C1) 全国26都道府県で実施 | 15,000円 | 約3時間 |
IELTS | 海外留学、海外移住申請向け 世界的に認知度の高い試験 全国15都市で開催 難易度が高め(B1~C2) | 25,380円 | 約3時間 |
TOEFL iBT | 海外留学、海外移住申請向け 世界的に認知度の高い試験 全国15都市で開催 難易度が高め(B1~C1) 自宅からでも受験できる | US $245 | 約3時間 |
TOEIC L&R/S&W | 社会人向け 申し込み及び試験日がL&RとS&Wで異なる L&Rは試験会場が多い S&Wは全国12都道府県で実施 | L&R 7,810円 S&W 10,450円 | L&R 120分 S&W 80分 |
※2022年6月時点の情報です。
※最新の情報は各検定公式ホームページでご確認ください。
沢山ありすぎて、どれを受験すれば良いのか分かりません…。
単純に「使える英語」を目指すのであれば、一番身近な英検がオススメです。
進学や留学・移住の場合はそれぞれ必要な検定が決まっているので、事前に調べ、目的に合った検定を受けましょう。
英語の4技能を高め「使える英語」を手に入れる
この記事を読んでいただいている多くの方は、次のどちらかに当てはまる方が多いかと思います。
・ 大学受験を控えた生徒さん or 保護者の方
・ 使える英語を身に付けたい社会人の方
いずれの場合にせよ、4技能を高めることで、留学やビジネスなど実生活で役立つ「本物の英語力」を手に入れることができます。
先ほどもお話ししましたが、単語・文法・音の3つが4技能の土台になります。
この3つこそが「英語の基礎」になるわけです。
そして、その上に4技能(スキル)が積み上げられていきます。
これが英語力の全体像です。
ですので、4技能を高める時は次の順で学ぶのが鉄則です。
基礎固め⇒4技能トレーニング
この順で学習することで、まずしっかりと知識を蓄え、その知識を実際に使うことができるようになってきます。
では、それぞれの学習方法について具体的に解説していきますね!
基礎を養う3つのポイント
英語の基礎力を高めるには、
この2つの学習で単語・文法・音を強化することに尽きます!
実際に学習を始める時には、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
学習効率が格段にアップしますよ!
では、ひとつずつ解説していきますね。
音というのは、単語の発音、フレーズや文での音のつながりを意味します。
単語を学習する時には、正しい発音で声に出して練習します。
また、文法を学ぶ時も、文章を声に出して読み上げます。
声に出すことで、後々リスニングやスピーキングでも単語や文法を使う準備ができます。
レベルというのは、教材のレベルを意味します。
教材のレベルは自分に合ったものを使いましょう。
実力に合った教材を使うことで、強固な基礎力を養うことができます。
逆に最初から目標に合わせた教材を使ってしまうと、それ以前に学ぶべき単語や文法が抜けたままになってしまう可能性があります。
実は、これはTOEICの対策をしている時にやってしまいがち。
え!そうなんですか!?
例えば、現在のTOEICスコアは200点なのに、目標の600点に合わせて”600点突破”などがタイトル載っている教材から始めるケースです。
教材によっては200点レベルから600点レベルまで網羅されているものもありますが、500点レベルからの単語や文法を扱う教材もあります。
200点レベルの人にとって、手に取った教材に漏れや抜けが無いかどうかは判断がつきにくいですよね。
このような事を避けるためにも、実力に合ったレベルから徐々にステップアップしていきましょう。
なるほど。
単語の教材を選ぶ時は、英検向けの教材がおすすめです。
級でレベルが分けられているので自分の実力に合った教材を探しやすく、抜け漏れを防止できます。
英検で使用されている単語は日常会話で本当によく出てくるものばかりなので、実践的なのも良いところ!
また、文法の教材は、中学校や高校の参考書を使うと万遍なく身に付けられます。
具体的な参考書は、こちらの記事で紹介しています。
確認してみてください。
TOEIC初心者向けの参考書|プロが選んだ本当に役立つ16冊最後に順序です。
これは、単語と文法どちらを先にやるべきかという意味です。
王道は、
単語+音 → 文法+音
です。
単語から学習する理由は2つあります。
- 文法の参考書内に知らない単語が多いと、文法を十分に理解するのに時間がかかりすぎて挫折する
- 文法を理解した後、仕上げに英作文をすると効果的
文法の学習の仕方で紹介していますが、文法を理解した後は、自分のことに置き換えて、学んだ文法を使った英作文で仕上げることで理解が深まります。
この英作文をする時に、単語をたくさん知っていると言いたいことが的確に表現できて便利ですよね。
ちなみに、英単語の覚え方でお話したように、単語の学習は1日1時間くらい必要です。
1日に1時間以上の勉強時間が取れる場合は、単語と文法を並行で取り組むのもOKです。
では、いよいよ「使える」英語の身に付け方を解説していきますよ!
4技能(スキル)|トレーニング方法と上達イメージ
4技能を高めるには、スキル別にトレーニングをすることが必要になります。
しかも、「使える」レベルになるまで鍛えぬきます。
「使える」レベルとは
知識として持っている基礎力を無意識のレベルでスキルとして使えること
記事や資料を読んで難なく理解できる。
相手の話を聞いて瞬時に要点をつかめる。
まとまった文章をサッと書ける。
自然なテンポで会話ができる。
これが、「使える」レベルの英語です。
トレーニング方法はスキルによって異なります。
つまり、
読む力を上げるには、リーディングのトレーニングを。
聞く力を上げるには、リスニングのトレーニングを。
書く力、話す力も同様です。
この4つのスキルは、多くの日本人学習者にとって、次の順で難易度が上がっていきます。
例えば、単語・文法・音の知識が100だったとします。
そうすると【読む】で瞬時に理解できるのは80くらいになります。
ここに含まれなかった20は何かというと、「知っているだけで瞬時に使えないもの」です。
ですので、「使える」英語を身に付けるには、次の手順で学習していくことが断然オススメです!
三角形ができたら、また1レベル上の基礎学習とスキルトレーニングをして、徐々に三角形を大きくしていきます。
基礎固め+スキルトレーニングをセットとして、このサイクルを何度も回していく。
経験上、これが1番の近道です!
しかし、この方法には問題が…。
自分がどこまで力がついているのか分かりにくいのです。
そこで!
根気良く学習を継続し、上達を実感するために、小さなゴールを設定しましょう。
ゴール設定には、圧倒的に英検がオススメです!
- 自分に合ったレベルから始められる
- 徐々にステップアップできる
- 基礎力と4つのスキル全てが鍛えられる(3級~)
- 合格することで上達を実感できる
- 教材が豊富
- 試験会場が近い
- 資格としても使える
自分の実力に合った級から始めて、小さなゴールであっても実際に試験を受けて合格を目指しましょう。
試験に合格することで自信がつきますし、モチベーションも上がります!
合格したら、次の級を目指してまた基礎固め+スキルトレーニングをしていきます。
ちなみに、英検準1級合格レベルの英語力があれば、留学やビジネスなどあらゆるシーンで力を発揮できますよ!
まとめ
今回は、英語の4技能の基礎知識と高め方について解説してきました。
- 4技能とは:読む、聞く、書く、話す
- 4技能はCEFR(セファール)という国際指標で表される
- 4技能を高めるには、基礎固めから始める
- 基礎とは、単語・文法・音の3つを指す
- 4技能は各スキル別にトレーニングをする
- 基礎固めとスキルトレーニングをセットで行い、英語力の三角形を作る
- 英語力の三角形を徐々に大きくする
- 小さなゴールとして英検を受験する
Practice makes perfect.(継続は力なり)
応援しています!!